鋼管杭の隠れた不利益

地盤の支持層が深度10m前後と浅いと、柱状改良と鋼管杭の価格が同程度になることがある。この場合、柱状改良と鋼管杭のどちらを選べば良いだろうか。答えは、柱状改良である。何故なら、鋼管杭を採用する場合には、二つの隠れた不利益を受け入れる必要があるからだ。隠れた不利益の一つ目は、基礎形状が杭基礎となること。柱状改良で採用することになる直接基礎と異なり、杭基礎では杭の飲み込み部分を設ける。その分、土を深く掘らなければいけなくなるので、土工事や残土処分の費用が嵩んでしまう。隠れた不利益の二つ目は、工期が伸びてしまうこと。鋼管杭は受注生産品で、建築確認が下りて仕様が確定してから正式発注するのが基本となる。鋼管杭の製造リードタイムは2~4週間程度なのだが、その間は着工できずに待機ということになってしまう。東京の軟弱地盤では、鋼管杭が無ければ下部構造が成り立たないことも多く、非常に有用な技術ではあるのだが、何でも鋼管杭という安直な意思決定は避けなければならない。

-土木1mm成長録
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