少し前のエントリでは変わり種の地盤改良工法として紹介してしまったが、今から紹介する砕石パイル工法は、利用頻度が比較的高い。3階建て程度までの建物荷重に対してであれば、改良強度とコストのバランスが取れているからだ。砕石パイルとは柱状改良体の一種で、セメントではなく砕石で改良体が形成されるところに大きな特徴がある。改良体を形成する際の砕石圧入と同時に地盤の締固めが行われるので、現地盤も密になって支持力が上がり、残土も発生しにくい。ただし、現地盤が密になるということは、水平方向の土圧が増すということと同義なので、近隣構造物(境界のブロック塀など)を変形させるリスクがあることには留意する必要がある。また、セメント系の柱状改良とは異なり、地盤の変形に砕石は追随するので、改良体が折れて支持力を失うことは無いが、変形に追随し過ぎて砕石が疎になることで支持力を失う場合はある。とはいえ、そこまで大きな地盤の変形があるなら、他の地盤改良工法を採用していたとしてもノーダメージとは行かないので、あまり気にし過ぎることでは無いように思う。砕石内の間隙に地下水が通ることで液状化対策にもなるという触れ込みだが、その点は期待し過ぎない方が良いだろう。あくまでも地盤改良工法として技術認定されている工法であり、液状化対策工法として技術認定されている工法では無いのが理由だ。改良体が砕石で形成されているので更新や撤去が容易というのが、他の地盤改良工法に対する大きなアドバンテージであるのは事実である。しかし、それが顕在化するのは新築して数十年後の話なので、発注者視点でのインパクトは薄い。
砕石パイル工法に対する私見