土木向けは割愛し、建築向けにフォーカスを当てると、地盤改良は4つのカテゴリに分けることができる。①表層改良、②柱状改良、③杭打ち、④その他である。
表層改良は、地表面から深さ1m程度のところに建物を支持できる地層(支持層)がある場合に用いる、表土全体にセメントを混ぜて固い地層に変えてしまう工法である。ただし、深さ1m程度であれば、基礎を深くして建物を直接支持層に接地させることが可能であり、その方がコストが安くなるケースもある。ローム層が根切り底よりも下にあるが、そのローム層に建物を接地させたい場合には、根切り底から表層改良を行うことも稀にある。
柱状改良は、土を攪拌しながらセメントを混ぜ、地表面から深さ10m程度までを限度とした固い柱(改良体)を形成していく工法である。柱状改良には、改良体の先端を支持層に接地させて建物を支持する支持工法と、支持層に接地させない代わりに改良体と現地盤の間の摩擦力(周面摩擦力)を用いて建物を支持する摩擦工法の2種類が存在する。コスト的には支持工法の方が有利になることが多いが、支持層が深い場合に支持工法を使うことはできない。
杭打ちは、支持層が深い時に用いる工法で、様々なバリエーションがあるが、主に利用されるのは鋼管杭と場所打ち杭の2つである。鋼管杭は鋼鉄で作られた杭で、場所打ち杭は鉄筋コンクリートで現地形成される杭なのだが、どちらも芯材が固いので長くなっても中折れしにくく、支持層が深くても先端支持をさせることができる。鋼管杭よりも場所打ち杭の方が高価だが、杭一本当たりの支持力は場所打ち杭の方が大きいので、大規模な建物になると場所打ち杭の方がトータルコストを抑えられる。
上記以外にも、シート工法や置換工法、砕石パイル工法やRES-P工法といった変わり種が存在するが、それらは別の記事で言及しよう。
基本的には、表層改良<柱状改良<杭打ちの順で地盤改良費が高くなり、地盤改良費が高くなるに従って軟弱地盤での可用性が高まると言える。都内で新築投資をする場合には、杭打ちではなく柱状改良で構造を成り立たせられるよう検討を重ねることが、建設費合理化の大きなポイントとなる。