地盤改良等を含む下部構造の最適化を行うに当たっては、室内土質試験を行う必要があると1つ前のエントリで書いたが、どんな地層に対してどんな室内土質試験を行うべきなのか、まとめてみよう。まず、LLT(孔内水平載荷試験)は埋土/盛土直下の地層に対し、直接基礎が成り立つことが容易に分かるケース以外で実施する。これにより、改良体が地震による水平力を受けたときに、どの程度の力を地盤側で負担できるかを知ることができる。水平力を地盤側で負担できる分、改良体の仕様の効率化を図れることがある。それから、三軸UU試験はローム層に対して、実際にはどれだけの荷重を負担できるかを明らかにできる。ローム層は実際に負担できる荷重に対してN値が低く出るので、ローム層に対しての三軸UU試験は必須と言える。次に、粒度試験は液状化のリスクが高い、N値が20以下の砂質土に対して実施し、結果を液状化判定に用いる。液状化判定を行わないと、液状化は起こるものとして地盤改良設計を行わなくてはならなくなるため、相当なコスト増を受け入れざるを得ない。そして、圧密試験は中間支持層の下の軟弱地層に対して実施する。圧密試験の結果を用い、圧密沈下が許容沈下量以下に収まることを確認できると、改良体を中間支持層で止めることができるので、地盤改良費の合理化を図れる。最後に、一軸圧縮試験だが、これはN値の低い粘性土の粘着力を調べるために実施する。粘着力が高いと改良体の周面摩擦力を地盤に対して大きく取れるため、改良体が負担できる荷重を増加させることができる。基本的には上記を押さえておけば、東京で地盤調査を行う際に、室内土質試験の内容で悩むことはないと思われる。
室内土質試験の使い分け