地鎮祭の意義

災いが起きないように土地を鎮めるという側面が強調されてしまったため、科学万能の世の中で地鎮祭は必要無いと考える方も多くなっている。しかし、そもそも地鎮祭というのは、その土地の神様にご挨拶を行う目的で行われていた。土地の神様とは、言わば風土や文化が抽象化された物であり、地鎮祭を行うことは地域社会を尊重することでもあった。だからこそ、あまり知られてはいないが、神式ではなく仏式でも地鎮祭の作法は存在する。現在でも、地域社会を尊重せずに建築を進めることができるかというと、それは難しい。近隣の方々と良好な関係を築けなければ、無用な衝突やトラブルが起こり易くなる。セレモニーとしての地鎮祭は必要無いのかもしれないが、何故地鎮祭が行われていたかという背景は、発注者も理解しておいた方が良い。